一級品ボタン剣制作されてから140年程経っているとは思えない、大変状態の良い「フラワーブーケと昆虫」です。この「フラワーブーケと昆虫」はマイセンの幾多のシリーズの中でも高額ラインの一つです。 プレート中央には豪華な六つ花ブーケ。メイン花の下の白花は一つの場合は通常数えませんが、二つですので一種として数えました。沢山の小花と昆虫がブーケを取り巻いています。プレートが大きい分、小花や昆虫の数も小さなプレートより多くなり、それでなくても華やかなプレートを更に華麗に彩っています。そして、何と言っても花絵が素晴らしいですね。まさに特筆すべき質の高さです。勢いのある筆使いと、自然主義の絵付けに近い遠近感。上の花が下の花に影を落とす様など、これが食器の絵付けであることに驚きを禁じ得ません。さて、このブーケにおいては茎に並ぶ棘を含め細部に亘って裏側が描かれた薔薇と並び、ケシも秀逸です。それにしても、マイセンの「ケシ」はどうして裏側から描かれるのでしょうか?偶々か、意図してか、このブーケはメインもサブも裏側という珍しい花合せとなりました。現代のマイセンは白磁の滑らかさや艶感など、やはり昔の物とは違い均一に高い品質の物を制作しています。しかし、絵付けに関してはどうでしょう?ボタン剣当時のダイナミックな構図に、ニュアンスのある色使い。更に加えて熟練のペインターによる情感溢れる柔らかな筆致。手に取った時に受ける震えるような、そして心躍るような印象は現代物にはない魅力で、まさに私がマイセンに半世紀を超え嵌まり続けている理由でもあります。薔薇の葉にスレ傷、時代特性でもある決して滑らかとは云えない白磁や色飛びなどは見られますが、有無を云わさぬ抗い難い絵の魅力にはいつも白旗を揚げざるを得ないのが悔しいところではあります。常々感じることですが、食器として見るか、絵を観るかのどちらに比重を置くかが皆様の選択の秤となるのかもしれません。「花絵」は多く集めてまいりましたが、ボタン剣のこのシリーズは出色の出来と感じるのは私だけ・・でしょうか?ご検討頂けましたら幸いです。(御参考)直径:約 24.5 cm
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