昭和レトロ、山形線や丸い細粒などを彫り手間をかけた、銀製・虎目石のタイ・ピン

地方の古い家のジュエリー・ボックスに残されていた、細めの銀製バーに、薄い黄と白のタイガー・アイ（虎目石）を置いた、小ぶりのタイ・ピンです。
　バーの表面には、細線で山形モチーフが、石の左側で４つ、石の右側で3つ彫られ、石の位置や中央からやや右に寄せられ、タイ・ピンの外への広がりを伺わせます（4枚め）。山の頂点から、それぞれ下に線が下され、タイピンに細やかな輝きを与えています。また、山形の上側では、山と山の中央部分が低くなるように、双方から斜めに傾斜が付けられ、下とは異なる輝きを演出しています。
　さらに、バーの上端と下端には、小さな細粒彫が連続してなされています。小さくて細いバーには、手間のかかる細工が十分に施され、昭和40年前後の職人が見せる、細やかな配慮と構図が伝わってきます。本品、石の裏側近くのバーには、silverの刻印が見られます（7，8枚め）。
　本品に付けられた石は、半透明の薄い黄白でタイガー・アイと想定されます。上から見ますと、黒い黄となりますが、下側の横から見ますと、このときに限って、白く輝く線が見られます（9枚め）。石の表面に一条の白い光が現れるキャッツアイ効果の一種と、推測して良いように思えます。
　繊細な細工の本品は、戦後20年前後を経た、本格的な日本復興期に見られた、手間をかけ小さな製品に職人の技と熱意を凝縮させた、日本産業の輝きを見せてくれ、それゆえ、懐かしさを感じさせてくれる稀有なタイ・ピンです。
サイズ：バー、横の長さ　約37㍉　幅（縦）　約2㍉強　厚さ　約2㍉弱、鎖部分を除く重さ、3㌘
石　横　約9㍉　縦　約5.5㍉　厚さ　約　4㍉

カラー...シルバー

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